ホンダADV150で下道400kmツーリング|燃費52km/L、加速・乗り心地・長距離性能をレビュー

バイクレビュー

代車で借りたホンダ ADV150に乗って、1日約400kmの下道ツーリングに出かけてきました。

富山方面から奥飛騨、安房峠方面を抜けて松本へ。そこから安曇野、大町、白馬、糸魚川を回るルートです。高速道路は使わず、市街地から山道までひたすら下道。

乗り終えて一番に思ったのは、「スクーターって、こんなに楽なんだ」ということでした。今回の走行条件では実燃費も約52km/L。通勤用の足としてだけでなく、そのまま休日のツーリングにも連れ出せる、なかなか面白い1台です。

一方で、峠の上りで感じる加速の余裕や、200kmほどで気になり始めたお尻の痛み、ヘルメットが入らなかったシート下収納など、長く乗ったからこそ分かった部分もありました。今回は、そのあたりも含めて率直に書いていきます。

富山で撮影した代車のADV150。シートバッグを載せ、下道ツーリングへ。
  1. ADV150を借りた理由と、今回の下道400kmルート
    1. 信号の多い市街地から、山道・峠道まで
  2. 街中の加速と操作の楽さ|通勤にも使いたくなる
    1. 60km/h付近までの加速は好印象
    2. 400km走ると、クラッチもシフト操作もないありがたさが分かる
  3. ADV150の実燃費は約52km/L|今回の下道ツーリングでの結果
  4. 長距離性能と乗り心地|200kmあたりからお尻は痛くなった
    1. 腰・肩・首は、400km走っても大きな問題なし
    2. 広めのシートで、座る位置を変えられるのは助かる
    3. 純正スクリーンの防風性は、正直あまり感じなかった
  5. 峠道で感じたこと|上りの加速には150ccらしい限界もある
    1. 上りは走れる。でも、加速の余裕は大きくない
    2. 下りのブレーキは好印象だった
    3. コーナーは、深く寝かせるより落ち着いて曲がりたい
  6. ADV150のダート性能|舗装路の先へ少し足を延ばせる
    1. 足まわりの公表値と、実際に感じた立ち位置
  7. 積載性|27Lのシート下でも、フルフェイスが入るとは限らない
    1. GT-Air IIとAEROBLADE-5は、どちらもLサイズが入らなかった
    2. 今回はTANAXのミニフィールドシートバッグを使用
  8. スマートキーが便利|日常の足としての完成度が高い
  9. 2026年現在、ADV150を中古で買う価値はある?
    1. 中古価格は、車両価格より支払総額で比較したい
    2. ADV150と現行ADV160の主な違い
  10. 400km走って感じた魅力は「日常の足+休日のちょっとした冒険」

ADV150を借りた理由と、今回の下道400kmルート

所有しているBMW R1200GSを整備に預けた際、代車として借りたのがホンダ ADV150でした。

スクーターに乗るのは初めてではありません。以前、香川県の直島へ行ったときに、レンタルのNMAX125とトリシティ125に短時間乗ったことがあります。

なので、借りたときは「NMAX125に少し余裕を持たせたような感じかな」くらいの予想でした。でも、せっかく借りたなら近場を走るだけではもったいない。思い切って1日ツーリングに使ってみることにしました。

信号の多い市街地から、山道・峠道まで

今回走ったのは、次のルートです。

富山方面 → 神岡・奥飛騨 → 安房峠方面 → 松本市街地 → 安曇野 → 大町・木崎湖 → 白馬 → 糸魚川 → 富山方面

走行距離はおよそ400km。信号の多い道、流れのよい郊外路、上り下りのある峠道と、かなり幅広い条件を走りました。短時間の試乗では分かりにくい、長距離での疲れ方や積載の使い勝手まで体感できたと思います。

なお、今回は高速道路を走っていません。以下は、あくまで下道での実走レビューです。

神岡の道の駅「スカイドーム神岡」にて。この先は奥飛騨から安房峠方面へ。

街中の加速と操作の楽さ|通勤にも使いたくなる

60km/h付近までの加速は好印象

街中での発進は、かなり好印象でした。信号待ちからアクセルを開けると、60km/h付近まではスーッと加速していく感じ。150ccなので絶対的なパワーがあるわけではありませんが、街中で使う速度域では十分だと感じました。

発進するたびに「もう少し力が欲しい」と思うような印象ではなく、日常の移動にはちょうどいい。通勤用として考えても、使いやすそうです。

アドレスV125のような小型・軽量の「通勤快速」をイメージすると、少し方向性は違うと思います。僕がADV150に感じたのは、通勤にも使えて、休日はそのまま遠くまで遊びに行けるスクーターという魅力でした。

400km走ると、クラッチもシフト操作もないありがたさが分かる

普段MTバイクに乗っていると、クラッチを握ってギアを変えるのは当たり前の操作です。でも、その操作がなくなると、こんなに楽なのかと驚きました。

基本的にはアクセルとブレーキで走れるので、信号で止まって、発進して、また止まってという場面でも手間が少ない。距離が延びるほど、この違いを大きく感じます。

MTにはギアを選びながら走る楽しさがありますが、ADV150の気軽さもかなりいい。「今日はとにかく楽に走りたい」というときには、この操作の少なさが魅力になります。

ADV150の実燃費は約52km/L|今回の下道ツーリングでの結果

燃費は、出発前に満タンにして、ツーリング終了後に再び満タンまで給油する満タン法で確認しました。結果は約52km/L。今回、特に驚いたポイントです。

街中だけでなく、山道や峠も含む1日ツーリングでこの数字。これだけ走って燃料の消費が少ないと、日常の足としても魅力を感じます。

燃費の種類数値条件
今回の実測約52km/L下道ツーリング・満タン法1回
Honda公表WMTCモード値44.1km/Lクラス2-1・1名乗車
Honda公表定地燃費値54.5km/L60km/h・2名乗車

公表値の出典:Honda「ADV150 スペック・サイズ」。WMTCは発進・加速・停止などを含む所定の試験による値で、今回のツーリングとは条件が異なります。

今回は郊外路を長時間、比較的一定の速度で走れたことも、燃費が伸びた理由として考えられます。また、1回の満タン法なので、給油時の満タン位置の違いによる誤差もあり得ます。

「ADV150ならいつでも52km/L走る」という意味ではなく、今回の走行条件では約52km/Lだったという結果です。信号の多い短距離通勤だけなら、また違う数字になると思います。

長距離性能と乗り心地|200kmあたりからお尻は痛くなった

腰・肩・首は、400km走っても大きな問題なし

1日約400kmを走って、腰や肩、首については特に大きな問題はありませんでした。操作の少なさもあって、下道を長く走る用途との相性はいいと感じます。

ただ、「どこも痛くならず、ずっと快適だった」とまでは言えません。一番気になったのはお尻でした。

広めのシートで、座る位置を変えられるのは助かる

およそ200km走ったあたりから、お尻が痛くなってきました。さすがに、長時間座り続けても平気なシートというわけではなかったです。

それでもADV150は座る面積が比較的大きく、前後に少しずつ座る位置を変えられます。痛くなってきたら位置をずらすことで、ある程度は対応できました。

僕の場合は、200kmくらいからお尻は痛くなったものの、腰・肩・首は400km走っても大きな問題なし。長距離に使えるかと聞かれれば「使える」と答えますが、シートとの相性や休憩の取り方は考えたいところです。

純正スクリーンの防風性は、正直あまり感じなかった

純正スクリーンについては、率直に言うと「あってないようなもの」に近い印象でした。もちろん、効果が完全にゼロという意味ではありません。大型ツアラーのように、はっきり風を避けてくれる感じはしなかった、ということです。

僕は身長180cm以上なので、体格によって評価は変わると思います。Hondaの説明ではスクリーンは2段階に高さを調整できますが、今回は高さ別の比較まではしていません。防風性を重視するなら、自分の体格とスクリーン位置で確かめたい装備です。

装備の出典:Honda「ADV150 発売時ニュースリリース」

峠道で感じたこと|上りの加速には150ccらしい限界もある

安房峠方面で撮影。山道では、街中とは違う加速の余裕も見えてきた。

上りは走れる。でも、加速の余裕は大きくない

街中では十分だと感じた加速も、峠の上りでは印象が変わりました。速度自体はある程度出るのですが、そこまで到達するのに時間がかかります。

「登れない」というわけではありません。ただ、アクセルを開けたときの余力はそれほどなく、ここは150ccらしい部分だと思いました。

MTなら、自分でギアを落として回転数を使いながら登れます。ADV150の変速機は、Hondaの諸元では無段変速式のVマチック。いわゆるCVTで、自動で変速するため、任意のギアを選ぶことはできません。

CVT自体が変速しないという意味ではなく、自分の意思でギアを選びながら加速を組み立てる感覚がない、という違いです。今回の上りでは、そのMTとの感覚の差も気になりました。

変速機形式の出典:Honda「ADV150 スペック・サイズ」

下りのブレーキは好印象だった

下りに入る前は、MTのようにギアを落として強めのエンジンブレーキを使えないことが少し不安でした。でも、実際に走ってみるとブレーキの効きはよく、今回の走行では大きな不安は感じませんでした。

スクーターにも減速時のエンジンブレーキはあります。僕が気になったのは、それがないことではなく、MT車のように任意のギアへ落として積極的に使えないことです。

なお、メーカー公表の装備は前後ディスクブレーキで、ABSはフロントのみの1チャンネル。今回の感想は通常の下りでの使用感で、限界までブレーキを試した評価ではありません。

装備の出典:Honda「ADV150 走行性能」

コーナーは、深く寝かせるより落ち着いて曲がりたい

コーナーでは、スポーツバイクのように深く倒して走ろうとは思いませんでした。車体を倒していくと、スタンドなどを路面に擦りそうな感覚があり、自然と慎重になったからです。

実際に擦ったわけではないので、接地する角度や限界は分かりません。あくまで、僕が乗って感じた印象です。

街乗りや普通のツーリングで困る感じではありませんでしたが、バタンバタンと寝かせて走るより、落ち着いたペースで景色を楽しむ方が、このバイクには合っていると思いました。

ADV150のダート性能|舗装路の先へ少し足を延ばせる

ADV150の見た目は、やっぱり魅力です。アドベンチャーバイク風の車体に、少しブロック感のあるタイヤ。「この先がちょっと未舗装でも、行ってみようかな」と思わせてくれます。

僕の印象では、フラットダート程度なら普通に走れる感じでした。ただし、見た目から想像していたほど、サスペンションが本格的なオフロード向けという感触ではありません。

足まわりの公表値と、実際に感じた立ち位置

項目ADV150のメーカー公表値・仕様
フロントサスペンションストローク130mm
リアサスペンションストローク120mm
最低地上高165mm
標準タイヤ専用開発のブロックパターン・チューブレス
前/後タイヤサイズ110/80-14M/C 53P / 130/70-13M/C 57P

出典:Honda「走行性能」「スペック・サイズ」。表は新車時の標準仕様で、借りた車両のタイヤ交換履歴や銘柄まで確認したものではありません。

数字や見た目だけで、KLXのようなオフロードバイクと同じ感覚で林道に入れるとは考えない方がいいと思います。今回の印象を、深い砂利や泥、段差の大きい荒れた道まで広げることはできません。

僕がしっくりきたのは、舗装路を中心に使いながら、ときどきキャンプ場までの未舗装路や、状態のよいフラットダートにも足を延ばせるという立ち位置です。

PCX160やNMAX155でもツーリングはできますが、ADV150には「舗装路の先も少し見てみたい」と思わせる雰囲気があります。これは同じ場所で3車種を乗り比べた性能評価ではなく、ADVのスタイルから受けた魅力です。

大町・木崎湖周辺での1枚。日常の足にも、こうした寄り道にも使いたくなる。

積載性|27Lのシート下でも、フルフェイスが入るとは限らない

GT-Air IIとAEROBLADE-5は、どちらもLサイズが入らなかった

シート下収納は便利ですが、思っていたほど万能ではありませんでした。試したのはSHOEI GT-Air IIとKabuto AEROBLADE-5で、どちらもLサイズ。今回借りたADV150では、どちらもシート下に収納できませんでした。

Honda公式では、ADV150のシート下容量は27Lで、フルフェイスヘルメット1個を収納可能とされています。ただし、ヘルメットのサイズや形状によって入らない場合がある、という注意書きもあります。

出典:Honda「ADV150 主要装備」

つまり、「フルフェイスは全部入らない」でも、「27Lあれば何でも入る」でもありません。自分が使うヘルメットを実際に入れて確かめるのが大事です。

今回入らなかったのは、この2モデルのLサイズです。同じメーカーの別モデルや、ほかのサイズまで一律に入らないという話ではありません。カタログの容量だけでは分からないので、購入前に確認しておきたいところです。

今回はTANAXのミニフィールドシートバッグを使用

借りたADV150はリアキャリアのないノーマル状態だったため、タンデムシート部分にTANAX ミニフィールドシートバッグを取り付けて走りました。

シート下だけに頼らず、シートバッグも組み合わせると、ツーリングに使うイメージがぐっと湧きます。自分で所有するなら、荷物の量に合わせてリアキャリアやボックスを追加するのもよさそうです。

キャンプについては今回実際に泊まったわけではありませんが、積載を整えれば十分楽しめそうだと感じました。キャンプ道具を満載した際の走りや収まり方は、今回のレビューでは未確認です。

スマートキーが便利|日常の足としての完成度が高い

乗っていて「これは楽だな」と感じた装備が、スマートキーです。キーをポケットに入れたまま、車両側の操作でエンジンを始動できる。この便利さは、使ってみるとよく分かります。

通勤や買い物など、何度も乗り降りする使い方なら、なおさらありがたいはず。毎回ポケットからキーを探して取り出す手間がないのは、地味ですがうれしいところです。

発進がよく、操作も楽で、今回の燃費も良好。休日に約400km走ったからこそ、逆に「これを毎日の足にしたら便利だろうな」と思いました。

2026年現在、ADV150を中古で買う価値はある?

僕の答えは、使い方に合う状態のよい車両を、納得できる価格で買えるなら、今でも十分候補になるです。今回感じた街中での楽さや、下道ツーリングの楽しさは、後継モデルが登場したからなくなるものではありません。

ただし、中古だから必ず割安とは限りません。ADV150はHondaのアーカイブでは2022年10月生産終了モデルとされており、現在の後継車種はADV160です。

中古価格は、車両価格より支払総額で比較したい

2026年9月26日に確認したグーバイクの掲載例では、ADV150に次のような価格がありました。全国相場の最安値・最高値ではなく、その時点の個別掲載例です。

掲載車の走行距離車両価格(税込)支払総額(税込)
10,509km38.2万円44.2万円
2,595km45.9万円50.81万円
2,261km57.8万円65.23万円

出典:グーバイク「ADV150の掲載車両一覧」。装備・整備・保証条件が異なり、在庫と価格は変動します。

これくらい幅があるので、年式や走行距離だけでなく、整備履歴と消耗品の状態、保証内容まで見て判断したいです。ADV160も含めて同じ条件の見積もりを取り、諸費用込みの支払総額で比べると選びやすいと思います。

ADV150と現行ADV160の主な違い

以下は国内仕様のメーカー公表値の比較です。ADV160は2026年5月発売モデルを対象にしています。

項目ADV150ADV160(2026年モデル)
排気量/最高出力149cc/15PS156cc/16PS
最大トルク14N・m15N・m
シート高795mm780mm
車両重量134kg137kg
シート下容量27L29L
メーター・連携装備液晶メーター5インチTFT/Honda RoadSync
メーカー希望小売価格(税込)45万1,000円(発売当時)53万9,000円

出典:Honda「ADV150発売時資料」「現行ADV160」「2026年ADV160改良発表」。新車価格は保険料や登録などの諸費用を含みません。

現行ADV160はシート高が低くなり、収納容量も増えています。2026年モデルではスマートフォン連携やUSB Type-Cソケットなども備わりました。ただし、今回はADV160には試乗していないため、加速や乗り心地がどれほど違うかは評価していません。

装備の充実を重視するならADV160も気になりますが、ADV150の見た目や今回のような使い方に惹かれるなら、中古車の状態と価格を見ながら選ぶ価値はあると思います。

400km走って感じた魅力は「日常の足+休日のちょっとした冒険」

糸魚川まで戻ってきたADV150。1日乗ると、普段使いから旅までこなせる魅力がよく分かった。

ADV150は、何か1つに特化したバイクというより、これ1台でかなりいろいろなことができる万能スクーターという印象でした。

街中では発進がよく、スマートキーも便利。郊外に出れば、操作の少なさを味方にのんびり距離を延ばせる。今回の下道ツーリングでは約52km/Lという燃費も記録しました。

もちろん、上り坂の加速には150ccらしい限界があります。200kmほどでお尻は痛くなったし、防風性やシート下収納にも期待しすぎない方がいい。それでも、1日約400kmを走り終えて残ったのは、「楽だったし、これであちこち行けるな」という感想でした。

通勤や買い物に使って、休日はシートバッグを載せてツーリングへ。積載を工夫すればキャンプも楽しめそうですし、舗装路の先に状態のよいフラットダートがあれば、少し寄り道してみたくなる。

本格的なオフロード性能を求める人には別の選択肢がありますが、日常の使いやすさと、休日のちょっとした冒険を1台で楽しみたい人には、ADV150は面白いバイクだと思います。

最初は代車として借りただけでしたが、400km走って、スクーターに対する見方がちょっと変わりました。

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